名取に地域の旬の恵みをジェラートで楽しめる人気店がある。店名の『Natu-Lino』(ナチュリノ)は、地元の名取(Natori)にちなんだ名前にしたいという想いと、自然(Natural)を大事にしていきたいという想い、そして、光り輝き未来へつながるという意味のハワイ語(Lino)からできている。
震災で大きな被害を受けたなかで、今までお世話になってきた名取という地域に恩返ししたいという気持ちが芽生えてきたという。そして、震災直後の極限状態にもかかわらず、アイスを手にした子どもたちが笑ったことを思い出す。さまざまな嗜好品がある中で、アイスクリームには人を笑顔にする力があるということに気付き、地域のブランディングのツールとしてのジェラートに全力を注ぐことになる。
美味しさの秘密のひとつはどうやら生乳にあるようだ。使用している生乳は全て宮城県色麻町の小松牧場さんのもので、なんと、それを毎朝直接取りに行き、その日のうちにジェラートにするというから新鮮なことこの上ない。港にある食堂と一緒で鮮度が命なのだそう。
成分や鮮度も自然のままのため、ジェラートの味が、夏はさっぱりテイスト、冬はこってりテイストとなるという。
冷凍ショーケースの中には、18種類ものジェラートが色鮮やかに並んでいる。どれも美味しそうで迷うが、これほど幸せな悩みはない。トリプル(550円税抜)で、まずは「お米・いちご牛乳・ポンカンカスタード」をチョイス。お米はつぶつぶ食感が特徴的で、お米のほのかな甘みがジェラートのクリーミーさとよく合う。いちご牛乳は程よい甘さで優しい味わい。ポンカンカスタードは、宇和島産ポンカンを皮ごとマーマレードにしているため、小さな果肉も入っていてカラダも喜ぶ美味しさだ。
追加で「キウイシャーベット・苺シャーベット・スイートポテト」もいただく。キウイの種やキウイ独特のすっきりした酸味といい、キウイそのもの以上にキウイ感がある。
苺シャーベットは苺の美味しさがぎゅっと詰まった、みずみずしくも濃厚な一品。スイートポテトはなめらかな舌ざわりで、さつまいもの自然な甘さとバターのコクが織りなすハーモニーが最高。こんなに食べても店内はポカポカ温かいため心配ご無用。
さらに「いちごパフェ(1,350円税抜)」も食べてみることに。亘理産の苺“もういっこ”がたっぷり乗ったボリュームたっぷりのビジュアルに、瞳も心も釘付け。苺をそのまま食べても美味しいのはもちろん分かっている。でも生クリームとジェラートと一緒に食べると、また格段に美味しさがアップする。口いっぱいに広がる美味しさに心がとろけそうになる。
冷たいジェラートが、心を温めてくれるのを実感した。「自分たちが良ければいいのではなく、私たちを通じて生産者さんに光をあてたい。その方たちがいるからこそ、私たちがジェラートを作って売ることができるのだから。」と力強く話す鈴木代表。その強い想いはホームページにも表れていて、生産者さんのインタビューが多数掲載されている。
また、取り組みの一環として、産学連携を図ったりと商品開発にも力を入れている。「ジェラート屋だけどジェラート屋ではない。真の目的は別のところにある」という熱い言葉に深く感動した。